【インチング】運転は、予め設定した移動量のみ、軸が移動します。
基本的には、位置決め制御と同じで、指定したポジションに到達したら停止するという考えです。現場よく使用する設定値としては、0.01mmや0.05mm刻みで移動するように設定しておきます。搬送などシビアなポジションを設定する時にインチングを使用してポジション決めを行います。
【JOG】運転については、過去に紹介しています。
インチング運転
インチング運転にはいくつか方法があるので、それらを紹介します。紹介内容は下記の通りです。
- KV-LH20Vによるインチング指令
- 予めポイントパラメータに設定して位置決め制御指令
- 任意の移動量を設定できるようにして位置決め制御指令
KV-LH20Vによるインチング指令
まずは、【LV-LH20Vによるインチング指令】についてです。
KV-LH20Vには、過去紹介した【JOG運転速度】と同様に、通信位置決めパラメータ設定の中に、システムパラメータがあり、その中に【インチング移動量】と言う項目あります。ここに数値を設定して、KV-LH20Vの【軸* インチング+】、【軸* インチングー】を出力すると指定量分、移動することが出来ます。(*は、軸番号が入ります。)
KV-LH20Vのシステムパラメータに直接書き込んでも良いが、下記のように割り当てられたアドレスに数値をラダーで転送するのも良い。
上図では、0.05mmをインチングの移動量として転送しているが、ここにデータメモリなどを入れて可変できるようにしても良い。
また、指令についてはJOG運転、同様の組み方となっています。
予めポイントパラメータに設定して位置決め制御指令
KV-LH20Vのポイントパラメータに、インチングの移動量や速度などを予め設定することが出来ます。
予め、ポイントパラメータに各ポイントのデータを入力したので、それらを読みだすラダー図を作成する必要があります。(下図のラダー図では、手動回路を想定しています)
任意の移動量を設定できるようにして位置決め制御指令
次は、【任意の移動量を設定できるようにして位置決め制御指令】についてです。上記では、予め各【ポイントパラメータ】に移動量を入力していましたが、ここでは、任意の移動量で位置決め制御を行います。
ここでは、【10】を位置決め開始用番号にしていますが、ご自身で設計してください。
ここのパラメータでは、予め演算したDM1050(現在位置からインチング移動量分を加算した値)、DM1052(現在位置からインチング移動量分を減算した値)を目標位置に転送します。他パラメータには数値を入力しているが、TPからの入力数値を反映させたいなら、DMなどを設定すると良いです。
さいごに
- KV-LH20Vによるインチング指令
- 予めポイントパラメータに設定して位置決め制御指令
- 任意の移動量を設定できるようにして位置決め制御指令
上記の内容について紹介しました。
①~③の違いとしては予めポイントやシステムパラメータを設定しておくか、フラグ起動時にパラメータを都度変更する、の違いだと思います。こんからはKV-LH20Vを使用する前提で紹介しましたが、CC-LINKやEIPには【位置決め開始ポイント】と言う概念がないです。そのため、後者の都度パラメータを制御開始時に変更する方法を身に着けておくと良いと思います。